魂ブログ 「S.H.Figuarts オーバーレイデク」原型可動化担当 原田氏インタビュー
2026-02-19 16:00 更新

プレミアムバンダイにて好評ご予約受付中の「S.H.Figuarts オーバーレイデク」。これまでにも多くの「ヒロアカ」フィギュアを造形してきた株式会社ピンポイント 原田氏が、原型の可動化を担当。アクションフィギュアを知り抜いた原田氏によるこだわりポイントについて、たっぷり語っていただきました。
※記事内画像は原型制作過程、ならびに開発中の試作品を撮影したものです。実際の商品とは異なります。
■S.H.Figuarts『僕のヒーローアカデミア』シリーズ進化のポイント
――今までS.H.Figuartsヒロアカシリーズを多くご担当いただいておりますが、今回「S.H.Figuarts オーバーレイデク」の可動機構をご担当されるにあたって、今までのシリーズから特に進化したポイントはございますでしょうか?
原田:「S.H.Figuarts オーバーレイデク」に関していうと、他社様の原型を可動化するっていうこと自体がほぼ初めてだったので、じゃあどうやって可動化していこうかと考えるところからスタートでした。
弊社で最初から原型を作る時は、ある程度初めから可動を入れ込んでフォルムと可動を並行して煮詰めるのが主流なのですが、今回は完成したフォルムに対してどう切り込んでいこうかなというところからまず悩みました。
時間をかけて作っていく中で、やっぱりWATANABE×REN氏がせっかく作ってくださった原型ですから、なるべくその原型の魅力を削らないようにとか、損なわないように関節を入れるというのはどうすれば良いのか、作法を見直すところからすごく考えました。

原田:特に肩周りなのですが、裸体の可動になると、割とオーソドックスなパーツ構成がいくつかあると思うのですが、それらに倣って構成すると、やはり結構原型の形が変わってしまいます。胸筋から肩にかけてのラインが可動の為に損なわれてしまうのは嫌だったので、肩関節に関しては、今までと構造を結構変えました。なるべくアウトラインを崩さずに、かつ今までと同等かそれ以上の可動になる様にという事を考えて、関節の軸位置とかパーツ構成を決めています。

原田:その辺りが「S.H.Figuarts オーバーレイデク」の最初の進化のポイントになるのかなと思います。
企画担当:ありがとうございます。それぞれの筋肉に沿ってとっても丁寧に関節を入れていただいたので、可動フィギュアに見えない程美しいボディーラインでありつつも、とてもよく動く最高の可動フィギュアを作っていただいたと思います!難しいご相談をさせていただいた中、遊んでいてとっても楽しい機構をふんだんに詰め込んで下さり、本当に感謝の気持ちで一杯です…。
原田:あのカッコ良い造形のまま、カッコ良く動いて欲しいという所が、今回のポイントなのかなと思いました。
企画担当:ありがとうございます。実際に遊んだのですが、めちゃめちゃ動きますよね。
原田:あと進化のポイントといえば、黒鞭ですね。黒鞭の構成にも時間を掛けていて、関節自体は割とオーソドックスな構造ではあるのですが、なるべく節々を動かした時に、「関節!」っていうのがアウトラインに見えないように心がけておりました。
最初に「S.H.Figuarts オーバーレイデク」の一報が入った時は、デコマスを撮ったシルエットになっていたじゃないですか?
あれを見た時に、黒鞭が変に途切れてないように見えてたので、成功したなって思っていました(笑)。
企画担当:撮影をしている際も、その辺りを丁寧にご作成いただいたおかげで、変に可動軸のノイズが入らず、とってもカッコイイ写真になり大変ありがたかったです。普通に考えるとあのエッジの効いた荒々しい造形に無機質なボールジョイントを入れると浮いてしまうと思うのですが、そこも、可動をさせた際、通常時とそれぞれ目立たないように分割部分とボール軸を絶妙になじませる工夫をして頂いており、静かな動きも、ダイナミックなアクションも両方ともカッコよくきまるので、無限に遊べるフィギュアかと思います。
原田:そうですね、やはり、なじませるというか、きれいに曲げてもスルッと繋がっているように見える、っていうのは意識して作っていましたね。
企画担当:パッと見だと全然わからないですよね(笑)。
原田:パッと見て、ここに関節入っているなって思わせないというのが、狙い所でしたね。
企画担当:ありがとうございます。いつも原田さんの原型は可動が全然目立たない様にとことんまで詰めて下さりますよね。
原田:なるべく意識しているポイントですね。

■可動構造のこだわりポイント
――可動の構造で特にこだわった点などあれば教えてください。
原田:蹲踞のような、しゃがみポーズですかね?このポーズは最初の秋場さんのオーダーで。これは一番大変だぞと。このポーズを実現するのに、下半身の可動の大元の部分は第1弾のデク(S.H.Figuarts 緑谷出久)に倣っていますが、この可動再現にはやっぱりそれだけだと足りませんでした。じゃあ、どうしようかなとなった時に、スネにもう1箇所可動を追加していまして。
これが結構効いていて、深く膝が曲がったように見える可動になっていますね。本来だったら、人体的にはここが動くというのはおかしいですけど、やはりこの絵が欲しい、っていうのがあるじゃないですか?
企画担当:はい。このポージングは本来であれば肉の弾力性で出来ているもので、プラスチックのアクションフィギュアではどうしても難しいポーズだとは思いつつ、オーバーレイデクのアクションとしてはこの絵はどうしても欲しいなと…。
原田:他のキャラクターでもそうですよね。このポーズが取りたいってなった時に、あと一歩、もう一息動いて欲しいんだよなっていう所の、あともうひと押しの関節です。
ただただ深く動かす為のものではなくて、そのキャラクターごとの、それこそ個性的なシーンの再現のためのワンポイントとして、追加しています。
他のキャラクターでもやっぱり入っていますよね。「S.H.Figuarts 爆豪勝己」だったら肩だったりとか。
企画担当:そうですね。どうしても劇中のように見えるように可動させるのが難しいところを、原田さんに特別な可動を仕込んでくださったので。
原田:肩の位置が多少破綻していても、ハッタリの効いた絵にしたいってなった時に、やっぱり欲しいんですね。もう一息動いて欲しいところを、肩側の関節を追加する事で再現しているっていうところなんですね。

企画担当:実写作品と異なり、アニメだと作画でパースが強くかかっていて現実にはできないけどとってもカッコ良かったり印象的なポーズが多々あり、そういったポージングをご相談する事が多いんですけど、いつも原田さんがその無茶な夢を叶えて下さっていて…(笑)。
また、どうしてもボディーラインを保ったままでは出来ず、人間離れした可動機構になりそうな時も、絶妙なバランスで、遊んでいて違和感の出ない様に分割調整をいつもして下さるので、本当に感謝しております。
原田:やっぱりお客さんが、原作なりアニメなりを見た時に、再現したいシーンがいっぱいあると思うんです。そういった時に、あともう一歩っていうところが遊んでいてストレスになってしまうと思うので、なるべくそうならない様にいつも気にかけて作っていますね。
企画担当:ありがとうございます。最初のデク(S.H.Figuarts 緑谷出久)でも、すごく素敵な可動域にして頂いたのですが、このオーバーレイデクの特殊なポーズを取る為に、もう一歩踏み込んでオーバーレイデク専用の可動機構が必要だったというところで、とっても大変だったと思うのですが、本当にありがとうございました…!
原田:このちょっとの事が、ポージングした時に決まってくるポイントになるかなって思います。こういったパーツ単位の位置関係は、劇中でもシチュエーションによって変わっていますからね。腕、肩周り、足の可動とは関係ない部分ですが、腰回りのポーチなんかも動く様にしています。手足とは関係無い部分もなるべく動かした方が楽しいかなぁというのは、意識してやっています。やはりこれも、ポージングした時に、ジャンプしている瞬間だったら、このポーチの位置は変わっているよねとか。
■オーバーレイ状態のデクだからこそ試行錯誤
――オーバーレイ状態のデクだからこそ再現に苦労した点はありますか?
原田:直接可動部分ではないんですが、やはり全身の黒鞭の再現ですね。全身の黒鞭のラインを可動の都合で切る必要があるので、変に途切れたりしない様に、というのは意識しましたね。
企画担当:全身に張り巡らされているので、そこに可動の為の切れ目が入ってしまうと、デザイン性が損なわれたりしてしまうとか、とても大変だったのではと想像してます。

原田:あとはやっぱり、顔と髪ですかね。首の可動をさせつつ、元原型を維持するのが、実は結構難しくて。その辺りは気を遣ったポイントではありますね。
企画担当:ありがとうございます。めちゃくちゃ上まで向くように仕上げて頂いて。
原田:そうなんですよ。あの可動域をとろうと思うと、襟足は分割しておきたいのですが、どこで切ったら可動域と見た目が維持できるか、何度も検証しました。目立たない部分ではありますが、他の案件でもこの辺りはいつも悩む所ですね。
企画担当:ありがとうございます。マントもあって、可動が難しいところではあったと思うんですけど。
原田:そうですね。マントと、腰と、黒鞭。これが結構せめぎ合っているので、その配置もなかなか難しかったです。元原型から唯一大きく変えてしまったのが、黒鞭の付け根の位置なんですよね。可動させるだけでなく取り外しもできる様にするとなると、配置できる位置が限られてくるんです。背中と腰どちらが良いか、何回も試作して検証しました。結局腰の方が遊びやすいという判断をして今の位置になっています。
企画担当:遊んだ時を想定して、毎回色々構造を見ていただいて、本当にありがとうございます。原田さんの原型は、遊んでいて本当に楽しいです。
原田:「S.H.Figuarts 爆豪勝己」の時に背中のオプションをつけたじゃないですか。やはり背中に重たいのが乗ると、素立ちでもポーズを取らせても自立が不安定になりがちですよね。オーバーレイデクも元々のデザインだからそうなんですけど、重心をおろした方が安定感が出るので遊びやすいかな、という判断をしました。
企画担当:とっても素立ちがしやすいオーバーレイデクになっているのは、そういうことだったんですね。
「S.H.Figuarts 爆豪勝己」の時も、設定画のデザイン通りだともっと狭まっている箇所があるんですが、遊びやすい様にちょっとアレンジしていただいた箇所がありましたよね。
原田:そうですね。オーバーレイデクについては先にお話しをした通り、造形は完成されていましたから極力控える様にしましたが、アクションフィギュアにおける造形は、可動に最適化した形を探りたいと考えていて、悟られない様にアレンジする必要はあると思っています。そういった部分が可動を担う原型師の腕の見せ所かなという気もしています。
企画担当:本当に読み込んで読み込んだ上で、ユーザーの皆様に嫌がられなくて、喜んでもらえるラインをちょっと探っていくのを、いつもやりとりさせて頂いていますよね。
原田:ノイズにならないバランスを探るというか、可動のための造形をする、という事ですかね。

■オーバーレイデク一番の難所
――一番再現するのが難しかった点はどこですか?
原田:一番悩んだのは肩なんです(笑)。
企画担当:肩なんですね(笑)。
原田:ここが延々決まらなくて。ずっと右往左往していて。他は割とすんなり行けたんですけど(笑)。
企画担当:原田さんが手掛けるS.H.Figuartsヒロアカシリーズとしては初の生身の肉体ですよね。
原田:まず元原型の造形を大切にする事を前提にしつつ、見た目や動作感はシリーズの横並びも大事かなと考えていまして。作り始めてた時に、「S.H.Figuarts 死柄木弔」を長汐さんが作られていると伺いまして、死柄木はどんな構造になるか、長汐さんが手掛けられたフィギュアで遊びながら想像しまして、現在の形になっています。きっと同じユーザー様が触れられると思うので、動作感が近い方が良いかと思ったんです。S.H.Figuarts『僕のヒーローアカデミア』シリーズとして、横の並びを考えると、こんな感じなのかなって。
…実際に死柄木と近いものになっているかは、実物を拝見していないので、まだ判っていないのですが(笑)。
企画担当:ありがとうございます。

■最後に
――最後に「S.H.Figuarts オーバーレイデク」とS.H.Figuartsヒロアカシリーズファンの皆様へ、メッセージをお願いします。
原田:間違いなく1弾のデク、「S.H.Figuarts 緑谷出久」から更にパワーアップしたものになっていると思うので、シリーズを通して、遊んできてくれた方にこそ是非手に取ってほしいです。シリーズが続いて来た事で、確実に進化しているヒロアカのS.H.Figuartsになっていると思うので、そこは是非、体感して欲しいと思いますね。
――本日はありがとうございました。
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© 堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会
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