魂の骨格 監督・バルキリーデザイン 河森正治 マクロス30周年スペシャルインタビュー
2012-09-26 17:30 更新
「DX超合金 YF-29 デュランダルバルキリー(30周年記念カラー)」の発売を10月に控え、マクロス30周年に込めた思いを河森監督にお伺いしました。
――YF-29 デュランダルバルキリー(30周年記念カラー)は、どのような経緯で企画されたのでしょうか?
河森 30周年記念アイテムとして、YF-29のカラーバリエーションを出せないかということがきっかけですね。カラーリングは何パターンか検討したんですが、その中で昔のフォッカー機のイメージが浮上したんです。
――このカラーリングが選ばれた理由を教えてください。
河森 YF-29アルト機のカラーリングは、本編中でもすぐにアルトの機体と認識できるように考案したものでした。赤白黒というアルトのカラーを生かしつつ、一方でブレラ機とバッティングしないように赤の面積を調整して……。言ってしまえば、映像で見せるためのカラーリングです。逆に今回の30周年記念カラーは、トイとして見せることを意識したものです。
――トイでなければ、実現できないカラーリングということでしょうか?
河森 そうですね。黒い機体は大気圏内限定なら大丈夫なんですが、宇宙戦闘では見えづらく、絵になりにくいんです。ところがこれが実物になると、黒は本当に映えてかっこいい。今回のカラーリングは実物のDX超合金用ですから、それなら積極的に黒を使っていこうという方向性になりました。
――カラーリングのこだわりを教えてください。
河森 当初、機種は全部真っ黒にしてしまうという案もあったんですが、黒の印象が強くなりすぎるので、ノーズの上下で黒と白に塗り分けています。またファイター時のパーツ構成を見ると頭部も黒にするのが自然ですが、バトロイド時の印象が冴えない。それならあえて頭部を白くすることで、アクセントにしたほうがいいと思ったんです。
――アルト機の塗り分けとは細部で異なっていますね。
河森 エンジンポッドを黒にしたのもポイントですね。機首と2つのエンジンポッドが黒いことで、3本の矢のように見える。三胴形式を強調できていますよね。エンジンポッドも最初は黒だったんだけど、ガンメタリックに変更してもらったことで、いいバランスになったと思います。
――キャノピーの色には、最後までこだわられたとのことですが。
河森 当初、キャノピーやセンサーの色はグリーンで、色の相性的には良く見えたんです。ただ実機のキャノピーを意識したとき、やっぱりちょっと違うかなと思ったんですね。近年の戦闘機のキャノピーは、様々なコーティングが施されて、金色にも補色に近い紫にも見える。『マクロス』の可変戦闘機はアニメーショーンの戦闘機ですが、どこかに実機のイメージを残しておきたいという気持ちがあります。そこで最後に無理を言って、今回は機体色に黄色が入っているので、それと差をつけるためにキャノピーを紫系に変えてもらったんです。
――この機体には、だれが乗っていることをイメージしましたか?
河森 難しい問題ですね(笑)。アルトが戻ってくるのか、それともオズマが乗るのか……。それとも新しいパイロットが出現しているかもしれないですね。
――DX超合金 YF-29にあらためて触れた印象をお聞かせください。
河森 触っていて楽しいですね。主翼や可動部分のクリックが気持ちよくて、いろんな遊び方ができます。よくここまでギミックを盛りこめたと思いますよ。未体験の人は、ぜひ30周年記念カラーでYF-29に触れてほしいですね。
取材現場には、可変バルキリートイの原点である「VF-1」も並べられた。
2012年10月24日発行の『フィギュア王』では、インタビューのロングバージョンを掲載予定!
(取材協力:ワールドフォトプレス・フィギュア王編集部/河合宏之)
河森 正治 (かわもり しょうじ) 1960年富山生まれ/サテライト所属 原作、監督、演出、脚本、絵コンテ、メカデザインまでこなすビジョンクリエーター。20代初期でTVシリーズ「超時空要塞マクロス」に登場する"バルキリー"をデザイン、リアルな戦闘機がロボットに完全変形するメカニズムを世に送り出し、可変ロボットデザインの第一人者となる。演出分野においても、若干24歳にして劇場作品「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」で監督デビュー。以後も様々な作品で才能を発揮している。 最新作は『アクエリオンEVOL』『AKB0048』等。 |