魂の骨格 第33回 俳優 小西遼生
2011-11-21 00:00 更新
大人向け特撮番組として、2005年に深夜枠で放映された『牙狼〈GARO〉』(以下『牙狼』)がテレビスペシャル、劇場版そしてオリジナルビデオ作品での展開を経て、実に6年ぶりに『牙狼〈GARO〉~MAKAISENKI~』としてテレビシリーズに帰ってきた。
雨宮慶太総監督の生み出す映像美や世界観、スタイリッシュなアクションなどで根強いファンを持つ『牙狼』だが、映像作品以外でも、2006年から2008年にかけ発売されたアクションフィギュア「EQUIP&PROP」やアパレルグッズ、パチンコなどでヒットを記録しており、まさに満を持してのテレビシリーズ再開と言えるだろう。
今回の魂の骨格は『牙狼〈GARO〉』テレビシリーズの放映開始と、アクションフィギュアブランド「魔戒可動」の展開スタートを記念し、主人公の冴島鋼牙を演じる小西遼生さんをお招きし、『牙狼<GARO>~MAKAISENKI~』の見どころやその魅力、撮影時の裏話を中心にお話を伺った。
■僕自身が『牙狼〈GARO〉』の大ファンです(笑)
――遂に新テレビシリーズ『牙狼〈GARO〉~MAKAISENKI~』が、2011年10月からスタートしましたね。
小西 「とうとう帰ってきたな」という感じですね(笑)。
新シリーズではこれまで描かれていなかった世界観や、キャラクターの細かい設定が、より深く描かれていくと思いますし、またそういう掘り下げ方が出来る奥深さも『牙狼〈GARO〉』が長く支持されている理由の一つだと思います。
――足掛け6年に渡る人気シリーズの一貫した作品の世界観やテーマも『牙狼〈GARO〉』の魅力ですね。
小西 元々原作もなく、ゼロからスタートして築き上げていった作品で、現場の全員が常に「本当に作りたいものを作ろう」という気持ちで取り組んでいるので、当然作品に対する愛情やテンションがものすごく高いし、根本の部分もしっかりと確立されているんです。だから今回「続編を作りましょう」ということになっても、そこからブレることが全くないんですよね。ただ今回のシリーズは、以前と比べると"遊び"の部分は増えている気がします。
『牙狼〈GARO〉』ならではの"お遊び"を用意しているので、特に造詣の深いファンの方には、その辺りも楽しんで頂けると思います。
――小西さんにとって、『牙狼〈GARO〉』の魅力とは?
小西 「ヒーローもの」として見ると王道そのものなんですけど、大人が観ても全く飽きさせないところです。牙狼の鎧や筆文字などのデザイン的な部分に代表される独特なビジュアルも、強い個性を感じる部分ですね。そしてダークヒーロー的な部分も演じている側としてもとても魅力的に感じます。やっぱり雨宮監督が作り出すキャラクターやその設定が、僕の中では最高にカッコいいんです。僕ら役者は用意されたものをより良くなるように演じているだけであって、それ以前に監督が作り上げた一人一人のキャラクター性がそれぞれ立っているから、カッコ良くなるんです。 ストーリーそのものが面白いのは当然ですが、「そのキャラクターが出てきただけで燃える」みたいなところも大きな魅力の一つですね。
■鋼牙の存在は常に僕の心の糧になっている
――小西さん演じる鋼牙は、感情をあまり表情に出しませんが、それゆえとても奥深いキャラクターですね。
小西 最初に鋼牙を「普通じゃないな」と思ったのは、前回のテレビシリーズの第1話でいきなりヒロインを突き飛ばすシーン。一応手加減してるとは思いますけど、人智を超えた力の持ち主ですし……リアルに考えたら、突き飛ばした瞬間に死んでますよね(笑)。
本来は人間と関わることをあまり良しとされない"魔戒騎士"という立場で、己が使命に対しては常に真剣に、そして真っ当に生きている。その芯の部分は最初から全く変わっていませんが、今回の『牙狼〈GARO〉~MAKAISENKI~』では人や仲間との関わり合いの中で、人間らしい細かい表情が増えていると思います。
――鋼牙というキャラクターは、演じる小西さんにとってどういう存在ですか?
小西 役者としては、ライフワークみたいになってますね(笑)。
今回の撮影では、日を追うごとに鋼牙に対して自然体で向き合えるようになりました。「こうやりたい、でもできない」といった、役者としての苦労は当然あるのですが、単純に「鋼牙という役柄でいること」が自然と日常になっていったことは、元々鋼牙の役柄が大好きなので嬉しいことですね。
鋼牙は単純にカッコいいし、僕にとっては憧れの存在でもあるんです。
あの格好で普通に町を歩くのはどうかと思いますけど(笑)、鋼牙という人間の芯の部分や、純粋さや強さ・・・そういうもの一つ一つに男として憧れます。
でも長年鋼牙を演じてきても、「鋼牙に負けない自分がいるか?」と考えると、そんなことは絶対にない。だから、「憧れの人とずっと一緒にいる」という感じですね。
鋼牙の過去は作中でしっかり描かれているし、直接的には描かれていなくても、彼の成長や積み重ねてきた年月は作品を観る方が感じ取れるよう作られています。
その"時の流れ"の重さは、6年間に渡って演じてきた僕にとっては、より身近に感じる部分もあって、ある意味「一緒に成長してきた」ような気すらしています。
舞台や別の作品などに参加しているときも、鋼牙の存在は常に僕の心の糧になっているんです。
だから『牙狼〈GARO〉~MAKAISENKI~』第1話では、鋼牙の「作中での時間の経過」と僕自身の「現実での時間の経過」を重ねることで、時の流れをカメラの前で自然に表現できたんだと思います。
単純に役者としての技術で表現するのではなく、僕の成長と鋼牙の成長を上手くリンクできた、ということでしょうね。
――40メートルの高さからのダイブなど、危険なアクションにもチャレンジしたそうですが……?
小西 基本的には「鋼牙に関しては極力全部演じたいし、挑戦したい」というだけなんですけどね(笑)。普通は安全面などのリスクがあるので、「アクションも含めて役者本人が全部やる」ということは、まずないんです。
けど、『牙狼〈GARO〉』の場合は安全面でも信頼できるスタッフが揃っているので、"緊張"はしますけど"怖い"とかはないですね。それに『牙狼〈GARO〉』の現場で「40メートルダイブ」というのは、演技としての難易度としては低い方なんです。
極論、大声を出しながら落ちればいいだけですから(笑)。
そういう意味で難易度が高いのは、むしろ普通に観ていても気付かないような地味な部分だと思います。
例えばアクションシーンで「今よりあと1秒速く動けますか?」とか、そういう部分。
今回の『牙狼〈GARO〉~MAKAISENKI~』でのアクション面に関しては「全ての難易度を上げていこう」という意気込みでやっているのですが、極論「陸上選手がコンマ数秒を縮めるために努力する」のに近いレベルのことを要求されているわけで……
そういう一つ一つの動きのクオリティを上げていくことの方が、難易度は高いですね。
その辺はおそらく、普通に観ている人には絶対気付いてもらえない部分だと思うんですが、でもそれはそれで全然構わないんです。アクションの切れが良くなればその分迫力が増していくし、それが積み重なっていくことで、最終的にキャラクターのカッコ良さとして伝わればいい。
鋼牙の強さやその背景、戦いの中で生まれた悲しさとか……
そういう想いのようなものが、アクションを通じて伝わればいいなと思っています。
――『牙狼〈GARO〉~MAKAISENKI~』の見どころは?
小西 これまでの物語を踏まえた上で、"布道レオ"を始めとする新キャラクターが絡んでくるので、まずはその辺に注目して欲しいなと思います。
個人的に嬉しいのは、これまでテレビスペシャルや劇場版のみの登場だったキャラクターと、テレビシリーズで再会できることですね。
それぞれ見どころも用意されていますし、各キャラクターの日常が垣間見れたりもするので、これまで以上に身近に感じられて楽しめると思います。
中でも、山刀翼役の山本匠馬くんはテレビスペシャルにしか出てないので、再会がすごく嬉しかった。
再会の瞬間の嬉しさって、カメラの前で何も作らなくても自然に出てきますね(笑)。
それぞれの年月を経て再会したキャラクターが同じ画面で活躍するのは、僕も『牙狼〈GARO〉』の一ファンとして楽しみです。「新しい仲間も含めたメインメンバー勢揃い」という場面も、ぜひ見たいですね。
――個人的にお気に入りのキャラは?
小西 カッコ良さで言えば邪美なんですけど……
やっぱり好きなのはゴンザさんですね。
あの中で唯一の、普通の人ですから。
今回は螢雪次朗さんが、これまで以上に「普通っぽさ」をガンガン出してますけど、とにかく執事役が自然なんですよ。
日本人であそこまで"執事感"を出せる人って、そうはいないと思う(笑)。
■ゴウテンは「憧れの芸能人」のような存在
――子供の頃の、玩具の思い出を聞かせてください。
小西 アニメを見た記憶はあまりないんですが、プラモデルは子供の頃から好きでした。小学生の頃はSDガンダムシリーズなんかを、勉強机の上で作ってましたね。
授業中にキン消しで遊んだり(笑)。
中学の頃はミニ四駆に凝って、コースとかで走らせてました。
その頃から金色や銀色が好きで、ボディはギラギラした色で塗ってましたね。
だからガロのデザインには、初めて見たときから妙な親近感がありました(笑)。
――最初のテレビシリーズ放映時に発売されたアクションフィギュアブランド『EQUIP&PROP(イクイップ&プロップ)』はご存知ですか?
小西 もちろん知ってます。これ(魔戒可動)の基になったシリーズですよね?
大きさも手頃だし可動範囲も広くて、一番スタンダードな印象があります。
当時、頂いたり自分で買ったりして、知り合いの子供と一緒に遊んだりしていたんですが残念ながらあちこち壊してしまって・・・。 大人向けに細かく作られているので、仕方ないんですけどね。
――今後出して欲しいアイテムは?
小西 ゼロ関連のアイテムは……ガロのライバル的な存在だからか、僕の中では優先順位が低いんですが(笑)。
キバはダークヒーロー然としていて素直にカッコいいので、ぜひとも欲しいです。あとは、やっぱりゴウテンですね。
『牙狼極魂 魔導馬 轟天』も、サイズは小さいのに細かく作り込んであって、かなり迫力ありますけど……
売り物ではなく展示物でいいので、いつか実物大のゴウテンが見たいです。ぜひ一緒に写真を撮りたいんです。
ゴウテンは作中では全てCGで、実際のサイズでは存在していないので……
僕にとっては"憧れの芸能人"のような存在なんですよ(笑)。
※魔戒可動 魔導馬 ゴウテンの受注受付は終了しています。
――それでは最後に、『牙狼〈GARO〉』ファンへのメッセージをお願いします。
小西 今回の『牙狼〈GARO〉~MAKAISENKI~』には、新キャラも含めて個性豊かなキャラクターが大勢出てきますが、全員が本当にキャラクター愛に満ち溢れていてカッコ良くて……
それもこれも『牙狼〈GARO〉』がファンに支持され、今まで長い間物語を作り続けることができたから、演じ続けてこれたからこそのことだと思います。
ファンの方々の中には、スタート当初からずっと追いかけて下さっている方も大勢いらっしゃるんです。ここまでシリーズが続いたのはそういう熱心な方々のおかげだと思っていますし、本当に心から感謝しています。
そういう意味では、今回の作品は「これで恩返しできる」と思えるほど魅力的な仕上がりになっていると思いますので、ぜひ毎週欠かさず楽しんで欲しいです。
■2011年11月25日発売の月刊ホビージャパン1月号にインタビューの別バージョンを掲載!
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■衣裳協力
【S.O.S fp】 Tel:03-3461-4875
【WJKショールーム】 Tel:03-5768-5213
■撮影協力:加藤文哉
小西遼生 (こにし りょうせい)
1982年2月20日生まれ 東京都出身
スターダストプロモーション所属
主な出演歴
ドラマ【ウルトラQ dark fantasy(第23話)】
吉安光雄役
【牙狼〈GARO〉】冴島鋼牙役
映画【トリコン!!!リターンズ】葛城ユージ役
【牙狼〈GARO〉 ~RED REQUIEM~】冴島鋼牙役
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